どうして、糖尿病を治療しないといけないのでしょうか【合併症編】
血糖の上昇が軽ければ症状はほとんどありません。
ではなぜ、糖尿病を治療しないといけないのでしょうか?
糖尿病を上手に管理しないと合併症(余病)が出現しやすくなり、患者さんの死因や生活の質を落とす原因になります。つまりコントロールを良くすれば、その発生頻度を減らすことが期待できます。
早期には自覚症状に乏しく、しかしいったん発生すれば治療は困難になりがちです。そのため合併症は早期発見、早期治療が重要です。
上記のようにコントロール不良によって起こりやすくなります。
では血糖の目標はどうすれば良いのでしょうか。
- 空腹時血糖値
- 110~130mg/dl以下
- 食後血糖値
- 160~180 mg/dl以下
- HbA1c
- 7.0%未満
糖尿病の合併症を勉強しましょう。
- ➊ 神経障害
- 手足のしびれ、痛み、立ち眩み、便秘・下痢など
- ➋ 血管障害
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1.細小血管障害
(糖尿病にしか起こりません)-
網膜症→失明
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腎症→腎不全、透析
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- 2.大動脈硬化
心筋梗塞、脳卒中、壊疽など
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1.細小血管障害
三大合併症は:「しめじ」と覚えましょう
- 神経障害
- 網膜症
- 腎症
三大合併症を勉強しましょう
- ➊ 糖尿病(性)神経障害
- 特徴は、左右対称の上下肢末端のしびれ感です。手袋、靴下型の感覚異常が特徴です。
1度発生すれば治療が困難で、特効薬は多くありません。
- ➋ 糖尿病性網膜症
- 成人での失明の第2位の原因です。
単純性網膜症、前増殖性網膜症、増殖性網膜症に分類されます。
早期には自覚症状がない事もあるので、定期的に眼科受診をしましょう。
- ➌ 糖尿病(性)腎症
- 腎臓は体内の血液から余分な水分・老廃物を尿として排泄する重要な機能があります。
しかし血糖値が高いと、そのろ過機能が落ち、透析が必要となります。 - 腎症が原因で年間13,000人以上の患者さんが透析を開始され、透析導入最大の原因となっています。
早期には自覚症状がないので、油断しないようにしましょう。
- 大血管障害(動脈硬化)
- 糖尿病により、若くして全身に起こりやすくなります。
- ➊ 脳梗塞(卒中)
意識障害、手足の麻痺、言語障害、後遺症 - ➋ 狭心症,心筋梗塞
心筋に栄養を与えている血管の動脈硬化が原因です。
狭心症(運動時胸痛):休むと治まります
心筋梗塞:安静時にも持続して胸痛が起こります。 - ➌ 閉塞性動脈硬化
下肢の動脈硬化です。
冷感、シビレ感、蒼白、チアノーゼ
間欠性跛行(歩くと痛くなり、休むと軽減を繰り返す)
安静時疼痛、潰瘍、壊死、壊疽(下肢切断も)
- ➊ 脳梗塞(卒中)
- 禁煙が必要です
- 合併症治療のポイント
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- ➊ 自覚症状は進行(腎不全期、増殖性網膜症)してから
- ➋ 悪化すれば透析や硝子体手術が必要:しかし予後は不良です
- ➌ 早期発見・早期治療が重要
- ➍ 他の合併症の治療も重要:血圧、高脂血症、動脈硬化など
- 生活習慣病とは***主治医は患者さん自身です
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- ➊ 『生活習慣の改善で発症・進行が予防できる病気』
- ➋ 生活習慣の改善を中心とした健康教育を通し病気を知りましょう
- ➌ 糖尿病を正しく知り、より良い生活習慣に改めましょう
糖尿病とともに
糖尿病などの生活習慣病は治すのは困難です。
しかし、合併症が起こらない・進行しない状態に到達するのは、必ずしも困難ではありません。
病気に向かい合うのが大事です。